職場
インタビュー

私が勤務していた病院には高齢の患者様が多くいらっしゃいました。中には入院中に体の状態・認知機能が低下し、そのまま退院される方もおられました。家の近くに身寄りや頼る人がいないという場合もしばしば。病院を後にするそんな患者様を見送っては「家に帰ってから大丈夫なのだろうか」と、ずっと気になっていました。いつからか「患者様が退院した後の暮らしを見守っていく仕事がしたい」と考えるように。思い切って、在宅医療に深くかかわることができる保健師に転換しました。

出かければ顔見知りの民生委員さんや町内会長さんが気さくに声をかけてくれます。「この間相談した〇〇さん、元気にしてるよ！」とうれしい報告を聞くことも多いです。高齢者の方の暮らしに関わる様々なご相談（介護・介護予防など）の対応や各種団体・機関との連携をはじめとする地域づくりを支えるのが主なお仕事。民生委員さんや町内会長さん、病院のソーシャルワーカーさんやケアマネジャーさん、ご家族の方など様々な方からご相談をお伺いしています。実際に高齢者の方のお宅を訪問するほか事業所の中での電話対応もしています。

「もう、生きていたくない」そんな風におっしゃる方がいました。身寄りのない方でした。どのように接すればよいか、どんな声をかけようか、と悩みながらも対応を重ねていくうちに、その方から悲しい言葉を聞くことがなくなりました。私だけではなく地域とも関わりを持ち、たくさんの人と出会うことで暮らしや気持ちが変化したのだと思います。「ありがとう」と言ってくださったときには、何とも言えない安堵感。よかった、と思いました。お宅に直接伺い、暮らしに寄り添う。じっくり傾聴することから始まる仕事です。高齢者の方の本来の姿を知ってサポートできる。これぞ私のやりたかった仕事。もっと色々なケースを経験して自分の引き出しを増やしていけたら、と思います。

夜勤がない、というのが前の働き方との大きな違い。生活リズムが整いました。お休みも取りやすい雰囲気で働きやすいですよ。同じ拠点で仕事をする保健師は私を含め4名。1人は後輩ですが、年齢・キャリア関係なく気軽に相談し合える関係です。ほかに看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが在籍。20代～30代も多く子育てと仕事を両立している仲間もいます。「人が好き」というのがみんなの共通点。これから入職してくださる新しい仲間もそういう方だと嬉しいです。地域の皆さんや事業所の方と積極的に関わって、普段から顔の見える関係づくりをしていきましょう。「あなたに相談してよかった」と思っていただけるようになりたいですね。