職場
インタビュー

私が精神科に入職したきっかけは看護学生時代に経験した実習でした。データには表れていないけど、ケアによって患者様がどんどん良くなっていく様子を目の当たりにして、「精神科って奥が深いんだ」と感じ、精神科への理解を深めたい思いが沸き上がりました。患者様とゼロから人間関係を構築し、信頼していただける存在となる。私もそんな看護が出来る看護師になりたい、と実習先に直接電話をしてその思いを伝え、精神科病院に入職しました。

出産・育児のため一時期、精神科を離れましたが、子どもたちが大きくなると「また精神科で働きたい」と思うようになりました。夜勤ができなくてもOKという条件で派遣スタッフとしての勤務がスタート。最初は、これまで使ったことのない電子カルテにあたふたすることもありましたが、認知症病棟で勤務していた時の経験が活かせる場面もたくさんありました。スタッフ同士のコミュニケーションが活発な職場なので、質問や相談もしやすく、すぐに馴染むことが出来ました。患者様は重症の方やお身体が良くなってきた方など、様々な症状の方がいらっしゃいます。お伺いした内容を医師に伝えたり、洗面や食事のサポートなど日常生活のお手伝いをしています。

もう子どもが大きいので「急に熱が出てしまって…」と慌てることはほとんどないのですが、「何かあれば遠慮なく言ってね」とまわりの同僚たちが優しく声掛けをしてくれます。すごくありがたい環境ですね。夜勤はもう少し子どもの様子を見ながら、徐々に入れればと考えています。精神科で働いていて感じるのは自身が「成長させてもらっている」ということ。対応に迷ったりすることもありますが、持ち前のポジティブさを更に進化させながら、日々患者様の対応をしています。退院した患者様から心の込められたお手紙を郵送でいただいたときは嬉しかったなぁ。今でも大切な宝物です。

実習などで現場を学びに来た学生さん達によく伝えるのは「どの科でも基本は人と人」ということです。私自身もそれをここで実感しています。マニュアルには載っていない、患者様ひとり一人に寄り添った言葉かけや対応があり、患者様を知っているからこそ可能なケアがある。そして、キャリアに関わらず構築していける信頼関係があること。看護という仕事は、患者様から「あの時はありがとうね」と言っていただき、心が温かくなる仕事です。人と向き合うことでの気づきや学び、喜びを本当にたくさん得られます。大好きな精神科で働きながら、人対人のスキルをこれからも高めていきたいと思っています。