職場
インタビュー

ここに来るまでの24年間、急性期の総合病院で勤務していました。緩和ケアの認定看護師としてがん患者の方や家族の方から相談を受けていたのですが「もっと早く介入ができれば」「もっと早く相談を受けられていれば」と悔やむ患者家族にいくつも出会い、自分で何か行動したいと思っていました。転機になったのは、あさのクリニック院長先生の講演を聞いたこと。「クリニックという箱を使って、医療だけに限らず地域のためにできることをやっていく、何かやってみたい仲間を募集する！」という内容でした。そこにピン！と感じて、自分が考えていた事がここでなら実現できる、とその時、すごく想像できたのです。私が実現したかったのは「もっと身近なケア」でした。

あさのクリニックの看護師は訪問診療に同行します。「訪問看護」に携わる看護師と「訪問診療に同行する看護師」。どちらも在宅医療に関わるのですが何が違うのでしょうか。どちらも在宅医療にかかわる看護師であり、共通するのは看護師の視点をもって、患者さん、そしてご家族を支えることです。訪問看護の中の看護師の役割は、主治医からの指示の医療処置や入浴介助、清拭、身体介護などの生活援助があります。一方訪問診療に同行する看護師の大きな役割は、医師と患者さん・ご家族との橋渡し、訪問看護ステーションなどの地域の医療・介護事業者への橋渡しだと思います。医師の診療の際に看護師が同席しているので、医師と患者さん、１対１のやり取りの場で言い出せなかったこと、診察中の患者さんの表情の変化や様子など、患者さんの思いや、一緒に話を聞いているご家族の思いを改めてお聞きして、医師に伝えること、そして訪問看護師に伝え、日々のケアに行かせるよう情報共有をしてます。診療中の雰囲気やご家族の心の動きをキャッチし的確に伝える、それが現場にもきちんと届けば、患者さんやご家族が理想とするケアへの近道になる。「ACP（アドバンス・ケア・プランニング）」のお話をしていく際もそうですし、私たち訪問診療同行看護師が、看護師ならではの通訳的な役割と、多角的・多職種に「繋げる」重要な役割を担い、やりがいにも結び付いていると思っています。
※ACP（アドバンス・ケア・プランニング）…今後の治療・療養について、患者さん本人とご家族、医療従事者があらかじめ話し合い、意思決定を支援するプロセス

あさのクリニックの看護師は、医療機関はもちろん、福祉施設、地域包括ケアセンターなど様々な経験があるスタッフたちです。もともと訪問診療経験者というスタッフはいませんが、外来も訪問診療もバランスよく担当しています。「在宅は初めてで不安」という方もいらっしゃるかもしれませんが、患者さんのお宅へは医師と同行しますし、薬剤師、訪問看護師、リハビリ職、介護事業所とも密に連携しています。はじめからオールマイティーに活躍できる人なんていませんから、まずは得意なこと、興味を持っていることをお願いします。
「今を生きるを支える」という法人理念をもとに、看護師間でも独自の看護目標を掲げ、在宅と外来において個々の役割を担ってもらえるよう日々勉強に取り組んでいます。家庭のあるスタッフも多いので、スタッフの負担になり過ぎないよう、在宅医療に関する診療報酬や制度について1日1問のクイズ形式のテストを実施。同じ目標に向かって、楽しくスキルアップ出来たらいいなと思っています。家庭のあるスタッフだけでなく、独身のスタッフも、スタッフ皆がプライベートとバランスよく働けるようにシフト作成も考慮していますので、安心してください。「アットホームなクリニックで地域に根差した看護がしたい」という方には、様々な活躍の場があると思います。

転職してすぐの頃はまだウィルスの猛威がありませんでした。早速、地域の訪問看護師に集まってもらってグループワークやディスカッションのイベントを開催。同じ地域で、同じ業界に関わる者同士が知り合える場となりました。現在はイベントのようなことができていませんが、今後もこの場所を使って地域のために、学びたい、広めたい、共有したい、というような方の思いをサポートしていけたら、と思います。看護師の中には、そういう思いの方がいるんじゃないかな。有休が1時間ごとに取得できたり、シフト制で勤務時間に融通が利くなど働きやすい職場でもあります。「在宅医療に興味がある」「地域密着で活動したい」という方と、あさのクリニックならではの新しいケアを考えていきたいですね。