職場
インタビュー

私たちの訪問先、アップルウッド西大寺（サ高住）では6時間の離床で日常生活動作の回復、寝たきり予防、状態の悪化を防ぐ「活性化ケア」を実践しており、そのベースをつくるのが私たちナースの仕事です。リハビリそのものに関してはＰＴの方々にお任せしていますが、利用者様の体調をきめ細かに観察し、「今日はもう少し控えめに」「しんどい時だけど動かした方がいいだろう」などのアドバイスをしています。管理者ではありますが、私はラウンドしていることがほとんどです。ドクターや夜勤スタッフに、利用者様の様子をしっかり伝えるためにも、スタッフと同じ目線で利用者様となるべくたくさん関わりたいと思っています。

アップルウッド西大寺の介護スタッフの皆さんは、もはや私たちのパートナーといえる存在。皆さんの観察力ってすごい！と思わされることが多々あります。利用者様が快適に生活していく上で注意が必要なことをしっかり見てくれているんですよね。利用者様とナースの関わりは点。しかし、介護スタッフのみなさんから説明や情報をもらって、それが線になる。原因と結果がわかってくると結果を変える方法も考えられるようになるんです。また、第1号認定の特定行為従事者として喀痰吸引（気管カニューレ内部ＯＫ）、経管栄養（経鼻ＯＫ）を任せられる方もたくさんいます。これによって私たちナースは、看護師としての業務に集中できます。お互いの刺激にもなっていますよ。

先端医療の現場でキャリアを積んでさらに上を目指したい！と考えていた時期もありました。現在は全く違う環境に身を置いていますが、ここでしか得られないナースとしての喜びを実感しています。例えば、大きな組織の中では実現できないようなケアができること。先日も、ターミナル末期の利用者様が、夜間にふと「桜を見に行きたいね」とのスタッフの声掛けに表情を変えられたことがありました。意識レベルも落ち、いつ何があってもおかしくない状況でしたが、孤独に生きてこられたその利用者様に「何か喜んでいただけることがしたい」という介護スタッフの強い要望を受け、急きょ外出を許可しました。ドクターへの連絡、外出の準備など予定外のことばかりでしたが、全て私が責任を持つ、と覚悟をした上でした。利用者様には最期が近づいてきていました。「今行けるなら行った方が後悔しない」と思ったのです。孤独な死を迎える人のこと思うと辛くて泣けてきます。「ここで最期を迎えられて良かった」と思っていただけるよう、私はこれからも最善を尽くしたいと思っています。

私が60歳で定年を迎えるとすると、あと10年余り。残りの時間で、自分の今持っている全てを活かして、発信して、地域に根を張った看護体制を構築していきたいと思っています。若いナースたちには、この先どんな環境で看護をすることになっても、広く視野を持ち、かつリーダーシップがとれる人材に育ってもらいたいと意識して関わっています。リハビリや介護についてまだ知識がないという方々にも挑戦して欲しいですね。私自身もそうだったのですが、高齢の方の成長や可能性を目の当たりにしたときは、「目からうろこ」だと思いますよ。この喜びを一度知ると「この方も、あの方も、もっとできるようになるんじゃないか」と色々試行錯誤するのが楽しみになってきます。手探りでケースバイケースですが、成果につながって得られる喜びはとても大きいです。利用者様の笑顔がみたい！その一心で頑張れる職場です。