職場
インタビュー

病院勤務の頃はオペ室で麻酔科の先生が採血をしていましたので、実は、特養の中で働いている現在の方が、採血の機会が多いんですよ。施設での業務には技術も必要だな、と実感しています。特殊なことはありませんが、褥瘡や胃ろうの処置を任されますし、「ちょっとおかしいかな」と介護スタッフから利用者様についての相談を受ける時や急変時の対応・判断も、私たち看護師にゆだねられています。もちろん、提携病院との連携がしっかりできており、そちらへの連絡・相談もスムーズなので、たった一人で抱えることはありませんが、まずは現場で私たちがきちんと判断をしなければなりません。自身の看護観、責任のもと、利用者様を見守り、ケアすることができる、やりがいある職場です。

この施設での勤務を決めたのは、残業がなく、家庭・育児との両立が可能だ、と聞いたからです。大好きな看護の仕事を長く続けていくためには、やはり家庭と両立できるかどうか、が問題。新しい職場を選ぶとき、私はこれが一番重要だと思いました。実際に働き始めて、看護師の人数に余裕があり休日が取りやすく、家庭の事情によって臨機応変に周りが協力してくれる雰囲気がとてもありがたいと感じています。定時に仕事を終え、子どものお迎えに間に合い、家事も問題なくこなせています。また、介護と看護の業務領域が明確になっていて、看護業務に集中できるのも、この職場のいいところ。だからと言って職種間に壁はなく、情報共有は密に行っていますし、「利用者様のために」と協力し合える、とてもバランスのいい関係が出来上がっていると思います。

ターミナルの利用者様が「アイスクリームを食べに行きたい」とおっしゃったことがあります。いつ、どんなことが起こってもおかしくない状況です。それでも、ドクターとご家族様から許可をいただき、吸引器と酸素を携帯し、介護スタッフと協力して、外出することができました。利用者様はクリームパンを食べたり、アイスクリームを食べたり、息子さんたちご家族と過ごせる時間をすごく喜んでくださって、私たちは本当に「良かった」と思いました。私たちにできることは、精一杯してさしあげたい、といつも思っています。それができる、この施設の環境がとても気に入っています。利用者様の病気を知るだけではなく、カルテには書かない、利用者様の昔の思い出、ご家族の楽しい自慢話や、好きなおやつのことまで知って、利用者様と深くかかわっていく…、ここでの働き方が、私の求めていた看護のスタイルなのかもしれません。

若い方、新しく仲間になられる方には、私たちに何でも相談してほしいと思います。職場には、３０代から６０代までの、様々な経験をした力のある看護師たちがそろっていますので、歳が近くて分かり合えること、ベテランだからアドバイスできることなど、色々とサポートできると思います。看護師として様々な場面で求められる判断力は、段々と経験を積むうちに身に付くのではないでしょうか。ここは、利用者様の人生にゆっくり向き合いながら、自分自身も着実に成長できる、そんな看護ができる場所です。