職場
インタビュー

もともとは一般病院で外来を担当。その後デイケアで働き、患者様のこれまでの生き方や、毎日の生活を深く知り、1対1の人間として長く関わっていくうちに、看護師としての接し方、考え方、看護観が変化してきました。患者様と二人三脚で、またケースワーカーやケアマネージャー、医師、リハビリ職など多くの専門的な知識がある方々と協力し合う関わり方にやりがい・面白さを感じました。デイケア勤務当時、5年間に渡って信頼関係を築かせていただいた患者様がいらっしゃり、ご家族様が「亡くなるまで看て頂けて良かった、長生きできました」と言ってくださった言葉が心に残っています。日々の暮らし方をご家族様と一緒にサポートする看護がしたい、という気持ちはますます強くなり、更に患者様の暮らしに近い在宅や訪問診療にも興味を持つようになりました。

在宅でのケアを支える看護をしたい、という思いで職場探しをし、精神科を選んだのは、人間対人間としての関わりを、もっと深く学びたかったからです。障がいがある人、ない人、誰にでも「生きづらさ」を感じる場面があるのではないでしょうか。私は自分を弱い人間だと思っていて、だからこそできることがある、また、看護師として専門的に手助けできることがあるのではないかと、ここで働くことを決めました。精神科の経験はありませんでしたが、ベテランの先輩たちに一つひとつ教えてもらいながら、デイケアと訪問看護、外来（デイケアを利用する患者様が外来にいらっしゃる際の処置）を担当しています。

デイケアでも訪問でも、一番大切にしているのは自分がしゃべりすぎず、話しやすい雰囲気をつくることです。言いたいことが口に出せない、表現できない、という患者様の心の声を引き出せたらな、と思っています。特にデイケアでは周りに誰かがいると気持ちを伝えにくい、という方もいらっしゃるので、1対1でゆっくり話せそうなタイミングを見計らって声掛けをしています。また、訪問の際は、暮らしぶりをしっかり観察するようにしています。どんな本を読んで、どんな食事をしているのか、片付けなど困っていそうなことはないかなど、家での生活が安定しているかどうかを見極めます。一度の訪問で解決しなくても、少しずつ手助けしながら、徐々に患者様と一緒に暮らしを改善させていきます。

まだ勤務開始から3ヶ月ほどですが、患者様が名前を覚えてくれ、声を掛けてくれるのがとても嬉しいです。「おはよう」「今日は早いね」などちょっとした会話でも「私を認めてくれているのかな」と感じます。外来で“普段から知っている看護師”として私の処置を安心して受けてくださるのも嬉しいです。「住み慣れた家で過ごしたい」と頑張っていらっしゃる患者様の力になりたい、何かできることはないか、と考えをめぐらせ行動していく仕事は楽しいですね。まだまだ覚えることは山積みですが、基本からしっかり身につけ、患者様の生活を豊かにするような関わりができたら、と思っています。