職場
インタビュー

学生時代の実習で行った昔の精神科。その時とは全く印象が違っていたんです。明るく開放的な施設は中庭のグリーンが映え、大きなガラス窓からいっぱい日差しが差し込んでいました。施設内を案内してくれた当時の看護部長に患者様が話しかけてきます。看護部長はいつも通り、といった感じでニコニコ会話をしていました。次から次へと患者様がやって来て看護部長と気軽に話し、手を振って去っていきました。また、新人の私に先輩たちの誰もが優しく声を掛けてくれ、何度同じ質問をしても、丁寧に答えてくれました。明るい雰囲気の職場で働きたかった私はすぐに「ここで頑張りたい！」と強く思いました。上司・先輩には近寄りがたいイメージがあったのですが、それもここで一変しました。

いざ働いてみると、患者様との関わり方が、私の「いいな」と思い描いていたカタチそのものでした。患者様のためのケアの方向性が決まっていて、関わる様々な部署のスタッフがみんなでそれを共有しているのです。ご家族について、服薬のパターン、こういうケアをしているのでこんな介入をしてください、というような詳細がきちんと申し送られます。ワーカー、リハ、心理などチームのメンバー全員で患者様に同じ方向を向いて対応できる、変更があればすぐに全員が把握できる、内容の濃い話し合いと連携が取れていました。また、看護師が看護師の話をしっかり聴く風土もあるので、私のような新人が先輩に質問・相談するのも気兼ねなくできます。困っていると「どうした？」と声を掛けてくれます。まだ2年目で分からないことも多い私ですが、この職場では、一人オドオドすることがありません。

入退院を繰り返していた10代の患者様がいました。進路について悩んでおられ、そのことを私に相談してくれました。一緒に悩み、たくさん話をしました。そして「進学」を目標に一緒に頑張っていこうと決めました。勉強も一緒にしましたよ。ドクターともたくさん話をして、ご家族様の理解もあって、治療が上手く進み、その後退院。しばらくして、お家でどうしているかな、と心配していたところ「進学が決まった」と嬉しい報告をもらうことができました。大変な時期もありましたが患者様と積み重ねて来て良かった、夢がかなった、という思いが膨らんで感激しました。私がここにいた意味があったんだ、と思えましたし、すごく元気ももらえました。

仕事の上では「個別性を大事にする」という目標を持っています。患者様一人ひとりと関わりを深く持ちながら、信頼関係を深めていきたいです。出勤したら「今日来てるよ」とか「●●時に会いに行くよ」と患者様に声を掛けるようにしています。また今後は、仕事にゆとりを持って取り組みたいとも思っています。休日がしっかり確保できる職場ですので（例えば夏に6日連続など）、仕事とプライベートの充実した時間をバランスよく過ごせたら、と思っています。もちろん、私がこれまで子育てと家事、仕事を両立してこられたのは、ベテラン看護師の先輩たちが配慮くださったからこそですので、現在の子育て世代の方々が無理なく仕事ができるようなサポートも、積極的にしていきたいと思っています。