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はたらきたい 未来への一歩

就職

一緒にリハビリをサポートするセラピストをはじめ施設内のスタッフみんなが、あたたかい協力でルミさんの頑張りを 支えています。

晴れて鍼灸マッサージ師となったルミさんは、企業の医務室勤務を経て、現在働く老人保健施設へ。
施術するのは約60名の利用者様。
足が痛い、腕が上がらない、歩けない、など、日々の暮らしの中でつらい思いをしている利用者様の、それぞれの症状に合わせ、1日約10名ずつのリハビリをサポートしています。
そして、フルタイムの勤務をしながら、また、全盲でありながら、想像を絶するような努力で、ケアマネジャーと介護福祉士の資格取得も果たしました。
資格を取るための勉強は苦労の連続。
点字で訳された資料や参考書など、ほとんどありません。
インターネットから必要な情報を取得し、パソコンの音声読み上げ機能を駆使したり、参考書を点訳する点字ボランティアの協力を頼りました。
日常の業務を終え帰宅した後に、夜中まで勉強する日々は続きましたが、無事試験を突破しました。
当時、全盲でケアマネジャーの資格取得者は県内でルミさんが初。
また、全盲で介護福祉士として活躍しているのは、今も日本中でルミさんだけかもしれません。
現在は、鍼灸マッサージ師の業務だけでなく、ケアマネジャーとして、介護保険を使う方々の介護サービスに関する相談を受けてアドバイスしたり、他職種の仲間とカンファレンスにも参加します。
介護福祉士としては、部門のリーダーとして後輩の指導を任され、認知症の方向けの脳トレーニングやレクリエーションのプログラムを企画します。
たくさんの利用者様とわきあいあい、楽しくおしゃべりしながら、頼られ、親しまれ、仕事に取り組んでいます。

カンファレンスに参加する際は、専用の文具を使いメモを取ります。

ちから

買物をするにも、仕事をするにも、勉強をするにも、目が見えない人への環境整備がまだまだ十分でないと感じられる社会の中で、自身に厳しい課題を与え続け、次々とそれを乗り越えてきたルミさん。
この強さはどこから来るのでしょうか。
ルミさんの原動力となるもの。
それはルミさんのお父様の言葉だそうです。
ルミさんが緑内障の診断を受けたとき、お父様は「自分の両眼を娘に移植して欲しい」と主治医に訴えたそうです。
「娘のためなら視力など要らない」と自分のことを思ってくれているお父様の言葉が、ルミさんの心に刻まれています。
「両親に元気で頑張っている姿を見せたい」という、強く、そして大きな思いが、彼女の頑張りの原点なのです。
ほかにも、幼い頃から盲学校で励まし合い、今でも連絡を取り合う親友や、職場で悩みを打ち明けられる同僚、周りでいつも手を差し伸べてくれる人たちを「宝物」だとルミさんは言います。
そして、ルミさんがくじけそうになったとき、つらいときに、いつも心を支えてくれる盲導犬エールの存在も、大切な力の源となっています。

エール

エールは、朝、ルミさんと職場まで共に歩き、ルミさんが仕事を終えるまでおとなしくケージの中でルミさんを待ち、夕方、ルミさんと一緒に帰宅しています。
出会ってからの6年間、片道3キロ、往復6キロ。
エールは、夏も冬も雨の日も、毎日ルミさんと一緒です。
名前は、盲導犬候補の子犬を約1年間育てるパピーウォーカーさんが「盲導犬を必要とされる方々が、社会で活躍できるようにエールを送りたい」という気持ちでつけられたそうです。
ルミさんは、いつもその気持ちに応えたいと思っています。
ケアマネジャーや介護福祉士の資格取得に挑戦すると決めたのも、「エールは、ずっと私のそばにいて私を応援してくれる。エールがいてくれる間、私もできる限りエールと一緒に頑張りたい。」との思いから。

勉強が深夜に及んでも、エールはじっとルミさんを見つめ、そばにいてくれました。
ルミさんが立ち上がれば、エールも立ち上がり、「どこ行くの?」というように寄り添ってきてくれました。
受験を投げ出したくなることもありましたが、エールが応援してくれている、と思うと気持ちを立て直すことができたそうです。
「エールのおかげで色々な変化があった」と、ルミさんは言います。
それは、周りの人たちへの思い、はたらくことへの思い、そして自分の将来への思い。
「エールに出会ってからの私は、もっと頑張りたいと思うし、頑張れる。」
その言葉通り、ルミさんは現在、老人福祉施設での仕事以外の、新しい活動にも取り組んでいます。

パピーウォーカーさんのお宅にいた頃のエール
エールが盲導犬としてルミさんと一緒にいられるのは10歳まで。ルミさんと、家族の方々と、毎日素敵な思い出を積み重ねています。
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